[せ]
船舶 商法上、商行為をすることを目的として、航海の用に供するものを言い、端舟(たんしゅう/はしぶね)等、櫓櫂(ろかい)のみをもって運転するもの、又は、主として櫓櫂をもって運転する舟は除かれる(商法第684条)。官公署の有するものを除き、商行為をすることを目的としない航海の用に供する船舶にも、商法第三編「海商」の規定が準用される(船舶法(明治32年3月8日法律第46号)第35条)。船舶は動産であるが、登記された船舶は、民法の即時取得の規定が適用されず、又、質権の目的とすることができない(商法第850条)。製造中の船舶も抵当権(根抵当権を含む)の目的とすることができる(商法第848条第1項、851条)
船舶管理人 船舶が共有の場合に選任することを要するとされる、一定の行為を除き、船舶の共有者に代わって船舶の利用に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する者。除かれる行為とは、1.船舶の譲渡、賃貸、又は抵当とすること、2.船舶を保険に付すこと、3.新たに航海をすること、4.船舶の大修繕をすること、5.借財をすること、である(商法第699条第1項、第700条第1項)。船舶の共有者でない者を船舶管理人とするには、船舶共有者全員の同意を要する(商法第699条第2項)。船舶管理人の選任及びその代理権の消滅は、登記することを要し、その登記事項は、船舶登記簿の丙区(船舶管理人部)に記載される(商法第699条第3項、船舶登記規則(平成17年2月28日法務省令第27号)第2条第3項)。
船舶管理人部 船舶登記簿のうち、船舶管理人に関する登記事項が記載される部分で、船舶管理人部は、丙区とされる(船舶登記規則(平成17年2月28日法務省令第27号)第2条第3項)。
船舶共有者 商法上、商法第684条に規定する船舶を共有する者。船舶共有者は、共同企業体を形成するものとして、組合関係にあると解されている。船舶の利用に関する事項については、各船舶共有者の持分の価格の過半数をもって決し、船舶共有者は、その持分の価格に応じ、船舶の利用に関する費用を負担し、利用について生じた債務を弁済する責任を負う(商法第693条、第694条、第696条)。船舶共有者間に組合関係がある場合でも、船舶管理人を除き、各共有者は、他の共有者の承諾を得ることなく、その持分の全部または一部を他人に譲渡することができる(商法第698条)。船舶共有者は、船舶管理人を選任することを要する(商法第699条第1項)。
船舶原簿 船籍を登録するために、管海官庁に備えられる公簿(船舶法第5条第1項)。船舶原簿には、番号、信号符字、種類、船名、船籍港、総トン数、造船地、造船者、進水の年月、所有者の氏名又は名称、住所及び共有であるときは各共有者の持分等が登録される(船舶法施行細則(明治32年6月12日逓信省令第24号)第17条の2第1項)。船舶原簿は磁気ディスクまたはこれに準ずる方法にて調整される(船舶法施行細則第17条の3第1項)。誰でも、管海官庁に対し、手数料を納付して、船舶原簿に記録した事項を証明した書面(登録事項証明書)の交付を申請し、又は、船舶原簿の閲覧を請求することができる(船舶法施行細則第29条第1項)。
船舶国籍証書 船籍港を管轄する管海官庁に備えられる船舶原簿に登録をすることにより、日本船舶の所有者に交付される、当該船舶が日本国籍を有すること、その他の事項を証明した書面(商法第686条第1項、船舶法第5条、船舶法施行細則第30条)。日本船舶は、法令に別段の定めがある場合を除き、船舶国籍証書又は仮船舶国籍証書の交付を受けた後でなければ、日本の国旗を掲げ又は航行することができない(船舶法第6条)。
船舶所有権の移転は、その登記をし、かつ、船舶国籍証書にこれを記載しなければ、これを第三者に対抗することができない(商法第687条)
船舶先取特権 船舶の競売に関する費用等、船舶について一定の債権を有する債権者が、船舶、その属具、未受領の運送賃の上に有する先取特権(商法第842条)。船舶先取特権は、他の先取特権や船舶抵当権に優先する(商法第845条、第849条)。
船舶質 登記されたものを除く、船舶を目的とする質権(商法第850条、第851条参照)。民法の動産質の規定に従う。
船舶抵当権 登記された船舶を目的とする抵当権(根抵当権を含む。商法第848条1項)。船舶抵当権の効力は、その属具にも及ぶ(商法第848条第2項)。船舶抵当権には、不動産の抵当権の規定が準用される(商法第848条第3項)。船舶抵当権は、船舶先取特権に劣後する(商法第849条)。製造中の船舶も抵当権の目的とすることができる(商法第851条)。
船舶登記 船舶のうち、一定の要件を満たすものについて、その権利関係を公示するためになされる登記。船舶は動産であるが、一定規模以上のものについて、不動産同様の取扱いを認めるものである。ただし、工場財団や立木のように不動産とみなされる旨の規定はない(工場抵当法第14条第1項、立木ニ関スル法律第2条第1項参照)。
登記の対象となる船舶は、日本船舶であり、端舟等、櫓櫂のみをもって運転するもの、又は、主として櫓櫂をもって運転する舟は除かれ、総トン数が20トン未満の船舶も除かれる(船舶法(明治32年3月8日法律第46号)第1条、第20条、商法第684条第2項、第686条第2項))。この船舶には、商行為をすることを目的として航行の用に供するものの他、商行為をすることを目的としない航行の用に供するものも含まれるが、官公署の所有に係るものは除かれる(商法第684条第1項、船舶法第35条)。
登記された船舶の権利の得喪・変更については、登記をしなければ第三者に対抗することができず、船舶所有権の移転については、船舶国籍証書への記載も要する(商法第687条、第703条、第848条。
船舶について登記することができる権利は、所有権、抵当権(根抵当権を含む)、賃借権、及び、処分の制限の登記であり、先取特権、質権の登記はすることができない。その他の登記事項には、船舶の表示に関する事項、船舶管理人に関する事項がある。
船舶登記簿 船舶登記がなされる登記簿。権利部は、甲区と乙区に区分され、甲区には所有権に関する事項が、乙区には、抵当権(根抵当権を含む)又は賃借権に関する事項が記載される(船舶登記規則(平成17年2月28日法務省令第27号)2条2項)。船舶管理人部は、丙区とし、船舶管理人に関する事項が記載される(船舶登記規則2条3項)。
船舶登録 日本船舶の所有者が船舶登記をした後、船籍港を管轄する管海官庁に備える船舶原簿に、所有者の氏名又は名称、住所等、一定の事項を登録すること(船舶法5条1項)。船舶の登録をするには、登録申請書に船舶登記簿の謄本を添付して提出することを要する(船舶法施行細則17条)。
先負(せんぶ/せんぷ) 「さきまけ」とも読む。六曜のひとつ。午前中は凶、午後は吉、何事にも平静であることが良いとされる。(→先勝)(→友引)(→仏滅)(→大安)(→赤口)
全部事項証明書 不動産の登記事項証明書のうち、登記記録に記録されている事項の全部を証明したもの。一般的には、登記簿謄本と呼ばれることも多い。(→何区何番事項証明書)
全部取得条項付種類株式 株式会社が、株主総会の特別決議によって、その全部を取得する定めのある種類株式 (会社法108条1項7号、171条1項、309条2項)。(→優先株式)(→議決権制限株式)(→譲渡制限株式(→取得請求権付株式)(→取得条項付株式)(→拒否権付株式)(→役員選任権付株式)
Copyright (c) 2008 Global Legal Office All Rights Reserved